2023年02月27日
ライブラリー リエバナ 3月の展示内容お知らせ
ヨーロッパ中世の彩色写本をファクシミリ版を中心に展示しているライブラリーリエバナです。
3月度の展示のお知らせです。


3月19日(日)と26日(日)はマーケット出店のためお休みです。
19日(日) 岡崎市『JUNK RATION 三河』出店
26日(日) 岐阜市『Gifu Anthique Arcade』申込中 未定
3月3日(金)と23日(木)は、午後からの開店です。
今月は、ベアトゥス写本群のなかで、系統Ⅰ群といわれるところに分類されている写本5点を展示します。 この系統の写本はそれぞれの写本の挿絵に強い個性があります。
【エスコリアル写本】
人物の顔の描き方に特徴があり、鼻と片方の眉がほぼ直角の直線で描かれ、大きなしずく型の目が特徴。
また、特に印象的なのは、大きくてギザギザの翼を持つ天使の姿です。その羽根が挿絵の額縁に収まりきらず、はみ出して描かれているのが特徴

【ナバーラ写本】
挿絵の地に使われている紫色が特徴の写本。ロマネスク様式を色濃く残しています。

【リスボン写本】
この写本も挿絵の地の色に特徴があり、黄色とオレンジの蛍光色が目を引きます。

【オスマ本】
挿絵は濃い赤や黄と共にエメラルドグリーンや薄青の背景色が特徴です。特にエメラルドグリーンは他に例を見ない美しい色調です。

【コルシーニ写本】

3月はほかに「カノッサの屈辱」で有名な『マティルダ伝』の写本と、空想上も含めた動物の習性と特徴とをキリスト教的教訓と結び付けた『動物寓意集』を展示します。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
インスタをやっています。
3月度の展示のお知らせです。

3月19日(日)と26日(日)はマーケット出店のためお休みです。
19日(日) 岡崎市『JUNK RATION 三河』出店
26日(日) 岐阜市『Gifu Anthique Arcade』申込中 未定
3月3日(金)と23日(木)は、午後からの開店です。
今月は、ベアトゥス写本群のなかで、系統Ⅰ群といわれるところに分類されている写本5点を展示します。 この系統の写本はそれぞれの写本の挿絵に強い個性があります。
【エスコリアル写本】
人物の顔の描き方に特徴があり、鼻と片方の眉がほぼ直角の直線で描かれ、大きなしずく型の目が特徴。
また、特に印象的なのは、大きくてギザギザの翼を持つ天使の姿です。その羽根が挿絵の額縁に収まりきらず、はみ出して描かれているのが特徴
【ナバーラ写本】
挿絵の地に使われている紫色が特徴の写本。ロマネスク様式を色濃く残しています。
【リスボン写本】
この写本も挿絵の地の色に特徴があり、黄色とオレンジの蛍光色が目を引きます。
【オスマ本】
挿絵は濃い赤や黄と共にエメラルドグリーンや薄青の背景色が特徴です。特にエメラルドグリーンは他に例を見ない美しい色調です。
【コルシーニ写本】
3月はほかに「カノッサの屈辱」で有名な『マティルダ伝』の写本と、空想上も含めた動物の習性と特徴とをキリスト教的教訓と結び付けた『動物寓意集』を展示します。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
インスタをやっています。
2023年01月27日
ライブラリー リエバナ 2月の展示内容お知らせ
ヨーロッパ中世の彩色写本をファクシミリ版を中心に展示しているライブラリーリエバナです。
2月度の展示のお知らせです。


2月12日(日)と26日(日)はマーケット出店のためお休みです。
12日(日) 瀬戸市末広町商店街『千客万来招き猫マルシェ』出店
26日(日) 豊田市『永覚新町にぎやか市』出店
2月3日(金)と24日(金)は、午後からの開店です。
今月はベアトゥス写本をはじめ中世に制作された写本の中から、特に大型の写本を中心に展示します。
中世に制作された巨大な写本としては『ギガス写本』が有名です。13世紀初頭に作られたといわれる『ギガス写本』は、大きさが縦92㎝×横50㎝の巨大なもので、310葉の羊皮紙からなり75㎏の重さがあります。
伝説では、誓いを破り監禁された修道僧が刑罰を逃れるため、一晩でこの写本を作成することを誓った。
しかし真夜中ごろになって誓いを守れそうにないことが明らかとなり、彼は堕天使ルシファーに、自身の
魂と引き換えに本を完成させてほしいと願った。悪魔は写本を完成させ、その修道僧は感謝の意を表すために悪魔の絵を追加したそうである。
悪魔の絵は290枚目のフォリオに描かれています。

所蔵のなかで一番大きな写本はベアトゥスの「ラス ウェルガス写本」で、縦52㎝ 横36㎝の大きさがあります。 13世紀初めとベアトゥス写本の中でも遅い時期に制作された写本で、ヨハネの黙示録に関する約70点の挿絵とダニエル書の聖ヒエロニムスによる解説に伴う10点の挿絵を含みます。


その次に大きな写本は『貧者の聖書+黙示録』写本で、縦48㎝ 横33㎝の大きさです。 この写本は一般的な『貧者の聖書』に黙示録を加えたもので、10葉に貧者の聖書が、11葉に黙示録が描かれており、最後に再度磔刑図が描かれています。


その他ベアトゥス写本群からは
『マンチェスター写本』45㎝×32㎝

『アローヨ写本』44㎝×31㎝

『カルデーニャ写本』45㎝×30㎝

『モーガン写本』39㎝×29㎝

を展示します。
その他の写本からは
『トリニティ黙示録写本』44㎝×32㎝

『ベリー候の大時祷書』40㎝×30㎝

を展示します。
また、当時修道院などの聖歌を歌うときに使われていた交唱聖歌集の楽譜(オリジナル)も展示します。多くの場合、複数の歌い手が同時に見ることができるように大判となっています。今回の物は縦67㎝×横48㎝の大きさで見開きにするとかなりの大きさになります。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
インスタグラム
写本関係のホームページ
2月度の展示のお知らせです。

2月12日(日)と26日(日)はマーケット出店のためお休みです。
12日(日) 瀬戸市末広町商店街『千客万来招き猫マルシェ』出店
26日(日) 豊田市『永覚新町にぎやか市』出店
2月3日(金)と24日(金)は、午後からの開店です。
今月はベアトゥス写本をはじめ中世に制作された写本の中から、特に大型の写本を中心に展示します。
中世に制作された巨大な写本としては『ギガス写本』が有名です。13世紀初頭に作られたといわれる『ギガス写本』は、大きさが縦92㎝×横50㎝の巨大なもので、310葉の羊皮紙からなり75㎏の重さがあります。
伝説では、誓いを破り監禁された修道僧が刑罰を逃れるため、一晩でこの写本を作成することを誓った。
しかし真夜中ごろになって誓いを守れそうにないことが明らかとなり、彼は堕天使ルシファーに、自身の
魂と引き換えに本を完成させてほしいと願った。悪魔は写本を完成させ、その修道僧は感謝の意を表すために悪魔の絵を追加したそうである。
悪魔の絵は290枚目のフォリオに描かれています。

所蔵のなかで一番大きな写本はベアトゥスの「ラス ウェルガス写本」で、縦52㎝ 横36㎝の大きさがあります。 13世紀初めとベアトゥス写本の中でも遅い時期に制作された写本で、ヨハネの黙示録に関する約70点の挿絵とダニエル書の聖ヒエロニムスによる解説に伴う10点の挿絵を含みます。
その次に大きな写本は『貧者の聖書+黙示録』写本で、縦48㎝ 横33㎝の大きさです。 この写本は一般的な『貧者の聖書』に黙示録を加えたもので、10葉に貧者の聖書が、11葉に黙示録が描かれており、最後に再度磔刑図が描かれています。
その他ベアトゥス写本群からは
『マンチェスター写本』45㎝×32㎝
『アローヨ写本』44㎝×31㎝
『カルデーニャ写本』45㎝×30㎝
『モーガン写本』39㎝×29㎝
を展示します。
その他の写本からは
『トリニティ黙示録写本』44㎝×32㎝
『ベリー候の大時祷書』40㎝×30㎝
を展示します。
また、当時修道院などの聖歌を歌うときに使われていた交唱聖歌集の楽譜(オリジナル)も展示します。多くの場合、複数の歌い手が同時に見ることができるように大判となっています。今回の物は縦67㎝×横48㎝の大きさで見開きにするとかなりの大きさになります。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
インスタグラム
写本関係のホームページ
2023年01月19日
名古屋市の円頓寺サタデーマーケットに出店します
1月21日(土)に行われる円頓寺サタデーマーケットに、ライブラリー リエバナとして出店します。11:00-16:00の時間で開催されます。

毎週土曜日に開催されているのですが、初めての出店です。 今回は彩色写本関係の古本(洋書主体)やポストカードと合わせて、手製本のメモ帳をお持ちする予定です。 メモ帳はマーブル紙や木の表紙を使ったエチオピア綴じやコプト綴じのものや、フレンチリンクステッチ綴じのものなどです。
下の写真は昨年10月の豊田市ブックマーケットの際の様子です。

円頓寺サタデーマーケットは円頓寺商店街で毎週土曜日に開かれています。青果やスイーツ、ハンドメイド雑貨やビンテージ、アンティークのお店などが並びます

名古屋の中でも最も古い商店街と言われる円頓寺商店街のアーケードで行われます。
お近くの人はぜひ足をお運びください。

毎週土曜日に開催されているのですが、初めての出店です。 今回は彩色写本関係の古本(洋書主体)やポストカードと合わせて、手製本のメモ帳をお持ちする予定です。 メモ帳はマーブル紙や木の表紙を使ったエチオピア綴じやコプト綴じのものや、フレンチリンクステッチ綴じのものなどです。
下の写真は昨年10月の豊田市ブックマーケットの際の様子です。
円頓寺サタデーマーケットは円頓寺商店街で毎週土曜日に開かれています。青果やスイーツ、ハンドメイド雑貨やビンテージ、アンティークのお店などが並びます

名古屋の中でも最も古い商店街と言われる円頓寺商店街のアーケードで行われます。
お近くの人はぜひ足をお運びください。
2022年12月30日
ライブラリー リエバナ 1月の展示お知らせ
中世スペインの彩色写本などをファクシミリ本(精巧な複製本)を中心に紹介しているライブラリー リエバナです。
1月の展示内容と開館日のご案内です。


1月6日(金)と26日(木)は午後からの開館です。 1月4日(水)までお休みさせて頂きます。
ベアトゥス写本は10世紀から13世紀にかけて制作された完本写本が22点残存していますが、その中で10世紀末ごろに制作されたものが6冊と一番多いです。
今月はその中から4冊を展示します。
(1)ジローナ写本 ・・975年に完成

(2)コゴーリャ写本・・10世紀第4四半期に制作

(3)ウルジェイ写本(前半部分) ・・10世紀第4四半期に制作

(4)エスコリアル写本 ・・10世紀末頃制作

その他に以下の写本を展示します。
(5)トーリア写本・・9紀初期に制作された、残存する挿絵入り黙示録写本で一番古い写本。

(6)ジャン・デュヴェ黙示録版画集・・1546-1555年頃 フランス リヨンで発行。

黙示録の木版画ではDürer(1471-1528, ドイツ)が有名ですが、ほぼ同時代に生きたジャン・デュヴェは、フランスの金細工師、彫刻家であり、版画家としても活躍。Dürerに張り合って制作されたようです。
(7)道徳聖書(教訓聖書) ・・1220年代のパリで作られたものの一つで、現存する唯一のフランス語写本(他はラテン語)。

第1段目と第3段目には聖書図像が描かれ、第2段と第4段にはそれに対応する註解図像が描かれるという構成になっています。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
1月の展示内容と開館日のご案内です。


1月6日(金)と26日(木)は午後からの開館です。 1月4日(水)までお休みさせて頂きます。
ベアトゥス写本は10世紀から13世紀にかけて制作された完本写本が22点残存していますが、その中で10世紀末ごろに制作されたものが6冊と一番多いです。
今月はその中から4冊を展示します。
(1)ジローナ写本 ・・975年に完成
(2)コゴーリャ写本・・10世紀第4四半期に制作
(3)ウルジェイ写本(前半部分) ・・10世紀第4四半期に制作
(4)エスコリアル写本 ・・10世紀末頃制作
その他に以下の写本を展示します。
(5)トーリア写本・・9紀初期に制作された、残存する挿絵入り黙示録写本で一番古い写本。
(6)ジャン・デュヴェ黙示録版画集・・1546-1555年頃 フランス リヨンで発行。

黙示録の木版画ではDürer(1471-1528, ドイツ)が有名ですが、ほぼ同時代に生きたジャン・デュヴェは、フランスの金細工師、彫刻家であり、版画家としても活躍。Dürerに張り合って制作されたようです。
(7)道徳聖書(教訓聖書) ・・1220年代のパリで作られたものの一つで、現存する唯一のフランス語写本(他はラテン語)。
第1段目と第3段目には聖書図像が描かれ、第2段と第4段にはそれに対応する註解図像が描かれるという構成になっています。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
2022年11月30日
ライブラリー リエバナ 12月の展示お知らせ
中世スペインの彩色写本などをファクシミリ本(精巧な複製本)を中心に紹介しているライブラリー リエバナです。
12月の展示内容と開館日のご案内です。


12月の開館日(予定):日・水・木・金曜日
2日(金)、23日(金)は午後からの開館、4日(日)、29日(木)、30日(金)はお休みです。
今月は初期・中期・後期のベアトゥス写本に合わせて、その前後に作成された黙示録写本も一緒に並べ、中世の黙示録写本の大きな3つの系譜を見てもらおうと思います。
まず初期中世黙示録写本群から2冊です。
(1)ヴァランシエンヌ黙示録写本
9世紀初頭に制作されたカロリングスタイルの黙示録写本で、トリーア黙示録写本と共に残存する最初期の挿絵入り黙示録写本です。

42葉の羊皮紙に38の全頁挿し絵が描かれています。
(2)バンベルグ黙示録写本
カロリング朝美術に続くオットー朝美術の黙示録で、挿し絵入りとして現存する唯一の写本。オットー3世が制作を依頼した豪華写本で、完成はヘンリー2世の元1000年~1020年の間と考えられています。106葉に47点の挿絵が描かれており、どの挿絵も金色の地が特徴です。

続いてベアトゥス黙示録註解書写本群から3冊展示します。
(3)モーガン写本
マドリード写本と並ぶベアトゥス黙示録註解書の初期の完本写本で、940-945年頃の作と考えられている。奥付けに写字・挿画をMAIUS(マイウス)が行ったとの署名があります。

マドリード写本は枠取りのない挿絵が主でしたが、モーガン写本では挿絵に枠取りをして、画面の地を幾つかの帯状色面で抽象的に処理する手法で描かれ、輝くばかりの色彩効果や破綻なく図像をまとめ上げる構図上の機能などにおいて、以降の写本の手本になったといえる写本です。 (参考:安發和徹モーガン図書館のベアトゥス写本挿絵《天上のエルサレム》について)
(4)ファクンドゥス写本
11月に引き続きの展示です。

13世紀に制作されたラス ウェルガス写本を除くと、修道院ではなく王室の依頼で制作された唯一のベアトゥス写本で、1047年頃の作です。 系統はモーガン写本と同じⅡa群です。
大きさは他の写本と比較しそれほど大きくはありませんが、全312葉と一番大部な写本になっています。
金・銀・紫がふんだんに使用され、豪華な挿絵が98点描かれています。
(5)カルデーニャ写本
1175年から1185年の間という比較的遅い時期に作成されたベアトゥス写本の中のひとつ。

51点におよぶ細密画は極めて美しく、 本書の製作に関わった装飾画家たちの技術の高さと繊細さ・緻密さを物語っており、 赤・青・緑の色調が金箔の輝きと一体化した活気のある鮮やかな図像が特徴です。
最後に13世紀イギリスに端を発して流行した英仏黙示録写本群から2冊です。
(6)パリ黙示録写本(MS.fr.403)
13世紀に突如流行となった英仏黙示録の初期の写本。

黙示録の前後に挿入されたヨハネの生涯を描いた部分は、2段構成の全頁大挿絵(いわゆる「ピクチャー・ブック」形式)が配され、黙示録本文は半頁大の挿絵を丈夫に配して、下部にダブル・コラムでテキストを配している。
(7)ゲッティ黙示録写本(ダイソン・ペリン黙示録)
13世紀から流行した英仏黙示録の一つで、「ドゥース黙示録」より少し早い時期に制作された同系統の写本。

41葉の上半分に彩色挿絵が描かれ、下半分に黒インクで黙示録本文が、赤インクでベレンガウドゥスの註解書が書かれています。
また、金・銀は、光輪や王冠・剣などに限られて使用されています。初めの1葉に、ヨハネがパトモス島に来る経緯が簡単に書かれています。
以上の7点の黙示録写本を展示します。
他に時祷書としてヴィスコンティ時祷書を展示します。この写本はミラノ公ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ(1351-1402)の注文で、ジョヴァンニーニョ・デ・グラッシとベルベッロ・ダ・パヴィアという2人の画家が手掛けたものです。
民間の裕福な人のために写本が作られた時代の、個人的な時祷書の典型的な例です。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
12月の展示内容と開館日のご案内です。


12月の開館日(予定):日・水・木・金曜日
2日(金)、23日(金)は午後からの開館、4日(日)、29日(木)、30日(金)はお休みです。
今月は初期・中期・後期のベアトゥス写本に合わせて、その前後に作成された黙示録写本も一緒に並べ、中世の黙示録写本の大きな3つの系譜を見てもらおうと思います。
まず初期中世黙示録写本群から2冊です。
(1)ヴァランシエンヌ黙示録写本
9世紀初頭に制作されたカロリングスタイルの黙示録写本で、トリーア黙示録写本と共に残存する最初期の挿絵入り黙示録写本です。

42葉の羊皮紙に38の全頁挿し絵が描かれています。
(2)バンベルグ黙示録写本
カロリング朝美術に続くオットー朝美術の黙示録で、挿し絵入りとして現存する唯一の写本。オットー3世が制作を依頼した豪華写本で、完成はヘンリー2世の元1000年~1020年の間と考えられています。106葉に47点の挿絵が描かれており、どの挿絵も金色の地が特徴です。

続いてベアトゥス黙示録註解書写本群から3冊展示します。
(3)モーガン写本
マドリード写本と並ぶベアトゥス黙示録註解書の初期の完本写本で、940-945年頃の作と考えられている。奥付けに写字・挿画をMAIUS(マイウス)が行ったとの署名があります。

マドリード写本は枠取りのない挿絵が主でしたが、モーガン写本では挿絵に枠取りをして、画面の地を幾つかの帯状色面で抽象的に処理する手法で描かれ、輝くばかりの色彩効果や破綻なく図像をまとめ上げる構図上の機能などにおいて、以降の写本の手本になったといえる写本です。 (参考:安發和徹モーガン図書館のベアトゥス写本挿絵《天上のエルサレム》について)
(4)ファクンドゥス写本
11月に引き続きの展示です。

13世紀に制作されたラス ウェルガス写本を除くと、修道院ではなく王室の依頼で制作された唯一のベアトゥス写本で、1047年頃の作です。 系統はモーガン写本と同じⅡa群です。
大きさは他の写本と比較しそれほど大きくはありませんが、全312葉と一番大部な写本になっています。
金・銀・紫がふんだんに使用され、豪華な挿絵が98点描かれています。
(5)カルデーニャ写本
1175年から1185年の間という比較的遅い時期に作成されたベアトゥス写本の中のひとつ。

51点におよぶ細密画は極めて美しく、 本書の製作に関わった装飾画家たちの技術の高さと繊細さ・緻密さを物語っており、 赤・青・緑の色調が金箔の輝きと一体化した活気のある鮮やかな図像が特徴です。
最後に13世紀イギリスに端を発して流行した英仏黙示録写本群から2冊です。
(6)パリ黙示録写本(MS.fr.403)
13世紀に突如流行となった英仏黙示録の初期の写本。

黙示録の前後に挿入されたヨハネの生涯を描いた部分は、2段構成の全頁大挿絵(いわゆる「ピクチャー・ブック」形式)が配され、黙示録本文は半頁大の挿絵を丈夫に配して、下部にダブル・コラムでテキストを配している。
(7)ゲッティ黙示録写本(ダイソン・ペリン黙示録)
13世紀から流行した英仏黙示録の一つで、「ドゥース黙示録」より少し早い時期に制作された同系統の写本。

41葉の上半分に彩色挿絵が描かれ、下半分に黒インクで黙示録本文が、赤インクでベレンガウドゥスの註解書が書かれています。
また、金・銀は、光輪や王冠・剣などに限られて使用されています。初めの1葉に、ヨハネがパトモス島に来る経緯が簡単に書かれています。
以上の7点の黙示録写本を展示します。
他に時祷書としてヴィスコンティ時祷書を展示します。この写本はミラノ公ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ(1351-1402)の注文で、ジョヴァンニーニョ・デ・グラッシとベルベッロ・ダ・パヴィアという2人の画家が手掛けたものです。
民間の裕福な人のために写本が作られた時代の、個人的な時祷書の典型的な例です。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
2022年10月09日
とよたブックマーケットに参加しました
昨日(10月8日)参合館で行われた「とよたブックマーケット」に参加しました。
前日までの雨模様から回復し、良い天気の一日となり多くの方々に足を運んでいただきました。

出店が30店と思った以上に多くの店舗が参加するブックマーケットとなり、盛況な一日でした。

おすすめの本の紹介やイギリスの絵本をはじめとする絵本から和書などいろいろな分野の本が並び、大変楽しいマーケットでした。
私も写本関係の本を中心にいろいろな方とお話しができて楽しかったです。足を止めていただいた皆さん、わざわざ来ていただいた皆さんありがとうございました。


また、エチオピア製本の手帖も「かわいい」という声をいただき、作成した甲斐がありました。



また準備・サポートいただいたスタッフの皆様 プロデュースされたEast Enders Coffeeのお二人方、本当にありがとうございました。またこのようなマーケットが開催されることを願っています。

前日までの雨模様から回復し、良い天気の一日となり多くの方々に足を運んでいただきました。
出店が30店と思った以上に多くの店舗が参加するブックマーケットとなり、盛況な一日でした。
おすすめの本の紹介やイギリスの絵本をはじめとする絵本から和書などいろいろな分野の本が並び、大変楽しいマーケットでした。
私も写本関係の本を中心にいろいろな方とお話しができて楽しかったです。足を止めていただいた皆さん、わざわざ来ていただいた皆さんありがとうございました。

また、エチオピア製本の手帖も「かわいい」という声をいただき、作成した甲斐がありました。

また準備・サポートいただいたスタッフの皆様 プロデュースされたEast Enders Coffeeのお二人方、本当にありがとうございました。またこのようなマーケットが開催されることを願っています。

2022年10月02日
今週8日(土)は参合館でブックマーケットです
今週土曜日10月8日は参合館1階でブックマーケットが開催されます。

まちなか文化祭の一つとして行われ、約30店ものいろいろな分野の本屋さんが出展されます。 こちらでも紹介されています。
ライブラリーリエバナも出店します。

中世写本関係の本

木のおもちゃ関係の本

ぜひお越しください。

まちなか文化祭の一つとして行われ、約30店ものいろいろな分野の本屋さんが出展されます。 こちらでも紹介されています。
ライブラリーリエバナも出店します。

中世写本関係の本
木のおもちゃ関係の本
ぜひお越しください。
2022年09月28日
ライブラリー リエバナ 10月の展示お知らせ
中世スペインの彩色写本などをファクシミリ本(精巧な複製本)を中心に紹介しているライブラリー リエバナです。
10月の展示内容と開館日のご案内です。

10月の開館日(予定):日・水・木・金曜日 (HPで確認下さい)
7日(金)はお休み
28日(金)は午後から
8日(土)は参合館でブックマーケットに参加
今月も先月に続きベアトゥスの写本に描かれている世界地図を見比べてみたいと思います。残存するベアトゥスの完本写本22冊のうち14冊の写本に世界地図が描かれています。黙示録には出てこない世界地図がなぜ描かれているのかよくわかりませんが、どうも註解書のなかで述べられている使徒についての解説の中で、「世界地図」は使徒たちが伝道し、教会を創設すべき「地上の全世界」を示しているようです。 地図の形態は、7世紀の神学者イシドールスの「語源論」に描かれている当時使われていた著しく簡略化された世界地図(TO図)の系統です。
10月は下記の4冊を展示します。
【1】ウルジェイ写本

10世紀後半にスペイン北部のアストゥリアス東部で作られた。ロマネスク様式のモサラベ風の90の彩色挿絵が描かれています。世界地図は下書きのままで彩色されていません。
【2】シロス写本

1109年完成。これまでより一段と精緻な図形化したモサラベ様式の挿絵が描かれています。
【3】ライランズ(マンチェスター)写本
ほぼ完全な状態で保存されてきた数少ない写本です。後期カロリング文字が2列に書かれ、110点の挿絵が金銀で鮮やかに彩られています。
上記3点はモーガン写本やヴァルカバード写本・ファクンドゥス写本と同じ系統に属し、世界地図も非常によく似たものとなっています。
【4】エスコリアル写本

エスコリアル写本 10世紀末ごろ、リオーハのサン ミジャン デ ラ コゴーリャ修道院で制作されたと推測。
縦 335 横 225 と小ぶりな写本。151葉の羊皮紙に52点の挿絵が描かれています。
世界地図は描かれておらず、他の写本の世界地図の中に描かれている「エデンの園」のアダムとイブが全頁大で描かれているのが特徴です。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
尚 10月8日(土)に豊田市の参合館で行われるブックマーケットに参加します。いろいろな分野の本屋が参加する予定です。ぜひお越しください。

10月の展示内容と開館日のご案内です。

10月の開館日(予定):日・水・木・金曜日 (HPで確認下さい)
7日(金)はお休み
28日(金)は午後から
8日(土)は参合館でブックマーケットに参加
今月も先月に続きベアトゥスの写本に描かれている世界地図を見比べてみたいと思います。残存するベアトゥスの完本写本22冊のうち14冊の写本に世界地図が描かれています。黙示録には出てこない世界地図がなぜ描かれているのかよくわかりませんが、どうも註解書のなかで述べられている使徒についての解説の中で、「世界地図」は使徒たちが伝道し、教会を創設すべき「地上の全世界」を示しているようです。 地図の形態は、7世紀の神学者イシドールスの「語源論」に描かれている当時使われていた著しく簡略化された世界地図(TO図)の系統です。
10月は下記の4冊を展示します。
【1】ウルジェイ写本
10世紀後半にスペイン北部のアストゥリアス東部で作られた。ロマネスク様式のモサラベ風の90の彩色挿絵が描かれています。世界地図は下書きのままで彩色されていません。
【2】シロス写本
1109年完成。これまでより一段と精緻な図形化したモサラベ様式の挿絵が描かれています。
【3】ライランズ(マンチェスター)写本
ほぼ完全な状態で保存されてきた数少ない写本です。後期カロリング文字が2列に書かれ、110点の挿絵が金銀で鮮やかに彩られています。
上記3点はモーガン写本やヴァルカバード写本・ファクンドゥス写本と同じ系統に属し、世界地図も非常によく似たものとなっています。
【4】エスコリアル写本
エスコリアル写本 10世紀末ごろ、リオーハのサン ミジャン デ ラ コゴーリャ修道院で制作されたと推測。
縦 335 横 225 と小ぶりな写本。151葉の羊皮紙に52点の挿絵が描かれています。
世界地図は描かれておらず、他の写本の世界地図の中に描かれている「エデンの園」のアダムとイブが全頁大で描かれているのが特徴です。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。
尚 10月8日(土)に豊田市の参合館で行われるブックマーケットに参加します。いろいろな分野の本屋が参加する予定です。ぜひお越しください。

2022年09月14日
10月8日(土)のブックマーケットに出店します
10月8日(土)~10月30日(日)に開催される「とよたまちなか芸術祭2022」の初日に、参合館1階でブックマーケットが開かれます。
「ライブラリーリエバナ」も出店しますので、ぜひお越しください。

全部で27店が参加するそうです。出店紹介をインスタグラムで行っています。


ライブラリーリエバナでは、店舗に並べている彩色写本関係の洋書や写本のポストカードのほかに、中世の製本様式で作成したメモ帳類や木工でつくるおもちゃなどの本を販売する予定です。

エチオピア綴じのメモ帳です。表紙は木でできています。

木のおもちゃの本です。

当日の参合館1階のレイアウトです。 14番でお店を開いています。ぜひお越しください。

「ライブラリーリエバナ」も出店しますので、ぜひお越しください。
全部で27店が参加するそうです。出店紹介をインスタグラムで行っています。
ライブラリーリエバナでは、店舗に並べている彩色写本関係の洋書や写本のポストカードのほかに、中世の製本様式で作成したメモ帳類や木工でつくるおもちゃなどの本を販売する予定です。
エチオピア綴じのメモ帳です。表紙は木でできています。
木のおもちゃの本です。
当日の参合館1階のレイアウトです。 14番でお店を開いています。ぜひお越しください。

2022年08月31日
ライブラリー リエバナ9月の展示お知らせ
中世スペインの彩色写本などをファクシミリ本(精巧な複製本)を中心に紹介しているライブラリー リエバナです。
9月の展示内容と開館日のご案内です。
今月はベアトゥスの写本に描かれている世界地図を見比べてみたいと思います。残存するベアトゥスの完本写本22冊のうち14冊の写本に世界地図が描かれています。黙示録には出てこない世界地図がなぜ描かれているのかよくわかりませんが、どうも註解書のなかで述べられている使徒についての解説の中で、「世界地図」は使徒たちが伝道し、教会を創設すべき「地上の全世界」を示しているようです。 地図の形態は、7世紀の神学者イシドールスの「語源論」に描かれている当時使われていた著しく簡略化された世界地図(TO図)の系統です。
9月は下記の5冊を展示します。
【モーガン写本】

マドリード写本と並んで一番初期の10世紀中頃(940-945?)に制作された完本写本。
【バルカバド写本】

970年6月から9月にかけて、レオン王国(スペイン北部)のバルカバード修道院にて製作された。
モーガン写本と同系統の写本。
【サン・スヴェール写本】

ベアトゥス写本の中で唯一ピレネー山脈を越えたフランスの修道院で11世紀後半に制作された写本。
モサラベ様式の中にロマネスク様式がまざった挿絵が見られる。
【オスマ写本】

ファクンドス写本より少し遅れて1086年に完成した写本で、すでにロマネスク様式が入りつつあったのがさらに進んでいる挿絵の様式です。
【ナバーラ写本】

12世紀後半にナバーラ地方のラリオハ地方のアストルガで作られたと考えられています。ロマネスク様式を色濃く残しています。
同時に15世紀前半にドイツ又はイタリアで制作されたと考えられる「プトレマイオス世界図」も展示します。プトレマイオス自身が作成した地図は失われましたが、150年頃に著された「地理学」に当時の様々な場所(約8000か所)の座標情報が記されており、「地理学」が1300年頃に再評価された際、その座標情報を使いプトレマイオスの世界図を再構成することができました。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。
開館日はこちらで確認してください。
9月の展示内容と開館日のご案内です。
今月はベアトゥスの写本に描かれている世界地図を見比べてみたいと思います。残存するベアトゥスの完本写本22冊のうち14冊の写本に世界地図が描かれています。黙示録には出てこない世界地図がなぜ描かれているのかよくわかりませんが、どうも註解書のなかで述べられている使徒についての解説の中で、「世界地図」は使徒たちが伝道し、教会を創設すべき「地上の全世界」を示しているようです。 地図の形態は、7世紀の神学者イシドールスの「語源論」に描かれている当時使われていた著しく簡略化された世界地図(TO図)の系統です。
9月は下記の5冊を展示します。
【モーガン写本】
マドリード写本と並んで一番初期の10世紀中頃(940-945?)に制作された完本写本。
【バルカバド写本】
970年6月から9月にかけて、レオン王国(スペイン北部)のバルカバード修道院にて製作された。
モーガン写本と同系統の写本。
【サン・スヴェール写本】
ベアトゥス写本の中で唯一ピレネー山脈を越えたフランスの修道院で11世紀後半に制作された写本。
モサラベ様式の中にロマネスク様式がまざった挿絵が見られる。
【オスマ写本】
ファクンドス写本より少し遅れて1086年に完成した写本で、すでにロマネスク様式が入りつつあったのがさらに進んでいる挿絵の様式です。
【ナバーラ写本】
12世紀後半にナバーラ地方のラリオハ地方のアストルガで作られたと考えられています。ロマネスク様式を色濃く残しています。
同時に15世紀前半にドイツ又はイタリアで制作されたと考えられる「プトレマイオス世界図」も展示します。プトレマイオス自身が作成した地図は失われましたが、150年頃に著された「地理学」に当時の様々な場所(約8000か所)の座標情報が記されており、「地理学」が1300年頃に再評価された際、その座標情報を使いプトレマイオスの世界図を再構成することができました。
ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。
開館日はこちらで確認してください。