2022年11月30日

ライブラリー リエバナ 12月の展示お知らせ

中世スペインの彩色写本などをファクシミリ本(精巧な複製本)を中心に紹介しているライブラリー リエバナです。
12月の展示内容と開館日のご案内です。





12月の開館日(予定):日・水・木・金曜日
2日(金)、23日(金)は午後からの開館、4日(日)、29日(木)、30日(金)はお休みです。

今月は初期・中期・後期のベアトゥス写本に合わせて、その前後に作成された黙示録写本も一緒に並べ、中世の黙示録写本の大きな3つの系譜を見てもらおうと思います。

まず初期中世黙示録写本群から2冊です。

(1)ヴァランシエンヌ黙示録写本
9世紀初頭に制作されたカロリングスタイルの黙示録写本で、トリーア黙示録写本と共に残存する最初期の挿絵入り黙示録写本です。

42葉の羊皮紙に38の全頁挿し絵が描かれています。

(2)バンベルグ黙示録写本
カロリング朝美術に続くオットー朝美術の黙示録で、挿し絵入りとして現存する唯一の写本。オットー3世が制作を依頼した豪華写本で、完成はヘンリー2世の元1000年~1020年の間と考えられています。106葉に47点の挿絵が描かれており、どの挿絵も金色の地が特徴です。


続いてベアトゥス黙示録註解書写本群から3冊展示します。

(3)モーガン写本
マドリード写本と並ぶベアトゥス黙示録註解書の初期の完本写本で、940-945年頃の作と考えられている。奥付けに写字・挿画をMAIUS(マイウス)が行ったとの署名があります。


マドリード写本は枠取りのない挿絵が主でしたが、モーガン写本では挿絵に枠取りをして、画面の地を幾つかの帯状色面で抽象的に処理する手法で描かれ、輝くばかりの色彩効果や破綻なく図像をまとめ上げる構図上の機能などにおいて、以降の写本の手本になったといえる写本です。  (参考:安發和徹モーガン図書館のベアトゥス写本挿絵《天上のエルサレム》について)

(4)ファクンドゥス写本

11月に引き続きの展示です。


13世紀に制作されたラス ウェルガス写本を除くと、修道院ではなく王室の依頼で制作された唯一のベアトゥス写本で、1047年頃の作です。 系統はモーガン写本と同じⅡa群です。
大きさは他の写本と比較しそれほど大きくはありませんが、全312葉と一番大部な写本になっています。
金・銀・紫がふんだんに使用され、豪華な挿絵が98点描かれています。

(5)カルデーニャ写本

1175年から1185年の間という比較的遅い時期に作成されたベアトゥス写本の中のひとつ。



51点におよぶ細密画は極めて美しく、 本書の製作に関わった装飾画家たちの技術の高さと繊細さ・緻密さを物語っており、 赤・青・緑の色調が金箔の輝きと一体化した活気のある鮮やかな図像が特徴です。

最後に13世紀イギリスに端を発して流行した英仏黙示録写本群から2冊です。

(6)パリ黙示録写本(MS.fr.403)

13世紀に突如流行となった英仏黙示録の初期の写本。


黙示録の前後に挿入されたヨハネの生涯を描いた部分は、2段構成の全頁大挿絵(いわゆる「ピクチャー・ブック」形式)が配され、黙示録本文は半頁大の挿絵を丈夫に配して、下部にダブル・コラムでテキストを配している。

(7)ゲッティ黙示録写本(ダイソン・ペリン黙示録)

13世紀から流行した英仏黙示録の一つで、「ドゥース黙示録」より少し早い時期に制作された同系統の写本。


41葉の上半分に彩色挿絵が描かれ、下半分に黒インクで黙示録本文が、赤インクでベレンガウドゥスの註解書が書かれています。
また、金・銀は、光輪や王冠・剣などに限られて使用されています。初めの1葉に、ヨハネがパトモス島に来る経緯が簡単に書かれています。

以上の7点の黙示録写本を展示します。

他に時祷書としてヴィスコンティ時祷書を展示します。この写本はミラノ公ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティ(1351-1402)の注文で、ジョヴァンニーニョ・デ・グラッシとベルベッロ・ダ・パヴィアという2人の画家が手掛けたものです。
民間の裕福な人のために写本が作られた時代の、個人的な時祷書の典型的な例です。



ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。

  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 11:37Comments(0)写本

2022年11月29日

おもちゃの修理の紹介

11月のおもちゃ修理であずかったおもちゃの修理をひとつ紹介します。

テレビのリモコンになるおもちゃ?で、音が出なくなった(中でカラカラ音がする)そうです。



カバーを外して中を見てみると、スピーカーがはずれて、断線していました。はんだ付けして元の位置のセットしてみましたが、どのボタンを押しても音が出ません。スピーカーは問題ありません。基板を見てみても特に異常は見当たりません。



とりあえずもとに組み立て直していろいろさわっていると、時々音が出ることがあります。いろいろいじっていると、後ろのボタン部分の「S」を押してから引き金のスイッチを押すと音が出ることがわかりました。横にある三つのボタンは音色の選択でした。



おもちゃを預かった時に、もう少し操作方法を確認しておくべきと反省した事例です。 大体の持ち主は遊び方は熟知していますが、修理者はそうでもないので、どういう操作をするのかもしっかり聞く必要があります。

次回のおもちゃ病院は
12月3日(土) 10:30~14:00 
 T-face A館9階 子育て支援センター「あいあい」 見晴し広場です。
 10:30~12:30 修理受付
 10:30~14:00 先月までに修理品の返却
です。  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 08:37Comments(0)おもちゃ修理

2022年11月28日

12月3日(土)のおもちゃ修理のお知らせ

12月3日(土) おもちゃ病院を行います。 
 10:30~14:00 T-face A館9階 子育て支援センター「あいあい」 
 (場所)見晴し広場です。
 10:30~12:30 修理受付
 10:30~14:00 先月までに修理品の返却

電池で動くおもちゃには新らしい電池を入れていただきますようお願いします。
修理が終わった際の確認がスムーズにできます。
よろしくお願いします。

先月のおもちゃ修理の紹介です。
一つ目はラジコンのおもちゃです。



送信機側は問題ないとのこと(電波は出ている)で、車両側を確認しましたが、電源周りは問題なさそうです。受信機側の故障はわかりにくいのですが、基板をよく見るとコンデンサーの足のハンダがなんとなく付きが悪そうな感じに見えます。通電は問題ないのですが、念のためハンダを追加したところ、動くようになりました。




もう一つはプラレールで、動かないということです。



電源周りを見てみると、電源端子がモーター端子に圧接のような感じで接続されているのですが、接触しているだけなのが問題ではと思い、ハンダで固定しました。次回修理の時にはんだを外す必要がありますが、動きには問題ないのでこれで完了としました。





尚、12月の絵本修理の受付は
12月24日(土) 13:00~16:00 T-face A館9階の「あいあい」活動室
です。
  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 09:23Comments(0)おもちゃ修理

2022年10月26日

ライブラリー リエバナ 11月の展示お知らせ

中世スペインの彩色写本などをファクシミリ本(精巧な複製本)を中心に紹介しているライブラリー リエバナです。
11月の展示内容と開館日のご案内です。



11月の開館日(予定):日・水・木・金曜日 (HPで確認下さい)
 4日(金)、6日(日)、24日(木)は午後からです。

今月はベアトゥス写本に描かれている楽器を紹介しようと思います。
一番有名なのは、天使が吹くと災いが起こるというラッパです。 ベアトゥス写本に描かれているラッパは、角笛のような形のものが多いです。そのほかに竪琴と呼ばれるものや、太鼓やシンバル、縦笛のような楽器が描かれています。

展示の写本は以下の4点です。
【マドリード写本】 モーガン写本とならぶ初期の写本。 切り取られたものが多く、27点の挿絵が残るのみとなっている。


【ファクンドゥス写本】 王室依頼で制作された豪華な写本です。


【コルシーニ写本】 ベアトゥス写本の中でも縦 17cm 横 9.5cmと一番小さな写本。 挿絵も8点と残存するものが少ない。


【シロス写本】 1109年完成。 一段と精緻な図形化したモサラベ様式の挿絵が描かれています。 ほとんど完全な状態で残されています。




ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 13:34Comments(0)

2022年10月11日

絵本の修理の紹介

先月依頼をいただいた絵本の修理について紹介します。
本文と表紙が外れた絵本が2冊ありました。2冊とも綴じ糸で外れていて、表紙の背の部分や本文の綴じ穴には傷みがありません。
(1)だるまさんが




(2)たからもののあなた




どうしたものかと考えましたが、結局2冊とも本文と製本用布とを綴じあわせて、布を表紙に接着することにしました。

ただ 「だるまさんが」は見返しが白紙なので白色の布を使用すれば問題ないのですが、「たからもののあなた」は水色なので裏打ちした布の手持ちがありませんでした。ということで、似た色の布を探して裏打ちをするところから始めました。


裏打ちした布です。多めに作りました。


表紙(見返し側)と布と本分を重ねたところ。色はほとんど同じです。

これを本文と一緒にサドルッステッチで縫い付けます。


縫い終わったところ。

縫いはじめと縫い終わりのところは三つ目綴じの要領で結びます。

本分と表紙を貼り付けた後です。布の部分もほとんど目立ちません。




「だるまさんが」も同じ要領で本文を表紙に接着しました。




大分要領がわかってきましたが、表紙の見返し全面に模様が入っていると難しくなります。  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 19:51Comments(0)絵本修理

2022年10月09日

とよたブックマーケットに参加しました

昨日(10月8日)参合館で行われた「とよたブックマーケット」に参加しました。

前日までの雨模様から回復し、良い天気の一日となり多くの方々に足を運んでいただきました。


出店が30店と思った以上に多くの店舗が参加するブックマーケットとなり、盛況な一日でした。


おすすめの本の紹介やイギリスの絵本をはじめとする絵本から和書などいろいろな分野の本が並び、大変楽しいマーケットでした。
私も写本関係の本を中心にいろいろな方とお話しができて楽しかったです。足を止めていただいた皆さん、わざわざ来ていただいた皆さんありがとうございました。




また、エチオピア製本の手帖も「かわいい」という声をいただき、作成した甲斐がありました。






また準備・サポートいただいたスタッフの皆様 プロデュースされたEast Enders Coffeeのお二人方、本当にありがとうございました。またこのようなマーケットが開催されることを願っています。

  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 11:51Comments(0)写本

2022年10月02日

今週8日(土)は参合館でブックマーケットです

今週土曜日10月8日は参合館1階でブックマーケットが開催されます。


まちなか文化祭の一つとして行われ、約30店ものいろいろな分野の本屋さんが出展されます。 こちらでも紹介されています。

ライブラリーリエバナも出店します。

中世写本関係の本

木のおもちゃ関係の本


ぜひお越しください。  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 15:35Comments(0)写本

2022年09月28日

ライブラリー リエバナ 10月の展示お知らせ

中世スペインの彩色写本などをファクシミリ本(精巧な複製本)を中心に紹介しているライブラリー リエバナです。
10月の展示内容と開館日のご案内です。

10月の開館日(予定):日・水・木・金曜日 (HPで確認下さい)
 7日(金)はお休み
 28日(金)は午後から
 8日(土)は参合館でブックマーケットに参加

今月も先月に続きベアトゥスの写本に描かれている世界地図を見比べてみたいと思います。残存するベアトゥスの完本写本22冊のうち14冊の写本に世界地図が描かれています。黙示録には出てこない世界地図がなぜ描かれているのかよくわかりませんが、どうも註解書のなかで述べられている使徒についての解説の中で、「世界地図」は使徒たちが伝道し、教会を創設すべき「地上の全世界」を示しているようです。 地図の形態は、7世紀の神学者イシドールスの「語源論」に描かれている当時使われていた著しく簡略化された世界地図(TO図)の系統です。

10月は下記の4冊を展示します。
【1】ウルジェイ写本

10世紀後半にスペイン北部のアストゥリアス東部で作られた。ロマネスク様式のモサラベ風の90の彩色挿絵が描かれています。世界地図は下書きのままで彩色されていません。

【2】シロス写本

1109年完成。これまでより一段と精緻な図形化したモサラベ様式の挿絵が描かれています。

【3】ライランズ(マンチェスター)写本
ほぼ完全な状態で保存されてきた数少ない写本です。後期‎‎カロリング文字‎が2列に書かれ、110点の挿絵が金銀で鮮やかに彩られています。

上記3点はモーガン写本やヴァルカバード写本・ファクンドゥス写本と同じ系統に属し、世界地図も非常によく似たものとなっています。

【4】エスコリアル写本

エスコリアル写本 10世紀末ごろ、リオーハのサン ミジャン デ ラ コゴーリャ修道院で制作されたと推測。
縦 335 横 225 と小ぶりな写本。151葉の羊皮紙に52点の挿絵が描かれています。
世界地図は描かれておらず、他の写本の世界地図の中に描かれている「エデンの園」のアダムとイブが全頁大で描かれているのが特徴です。

ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。ぜひお越しください。

尚 10月8日(土)に豊田市の参合館で行われるブックマーケットに参加します。いろいろな分野の本屋が参加する予定です。ぜひお越しください。


  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 16:50Comments(0)写本

2022年09月26日

10月1日おもちゃ病院を行います

10月1日(土) おもちゃ病院を行います。 
 10:30~14:00 T-face A館9階 子育て支援センター「あいあい」 
 (場所)見晴し広場です。
 10:30~12:30 修理受付
 10:30~14:00 先月までに修理品の返却

電池で動くおもちゃには新らしい電池を入れていただきますようお願いします。
修理が終わった際の確認がスムーズにできます。
よろしくお願いします。



9月24日の絵本修理に依頼のあった絵本をいくつか紹介します。




2冊とも綴じ糸が切れて本文が表紙から外れてしまっています。 本文は特に破れてはいません。 あまりこういう壊れ方はしないものですが。




この2冊はのどが破れていたり、破れかかっています。


よくある図鑑で、貼りあわせた厚手のページが内側からはがれています。開閉を繰り返すとどうしてもはがれるか破れてきます。


これは仕掛け絵本でレバーを動かすとフクロウの目が左右交互にウィンクするのですが、レバーが途中で3か所折れてしまい、目が動かなくなってしまいました。

また修理結果を載せます。
次回絵本病院は10月22日(13時~16時)です。


  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 22:22Comments(0)おもちゃ修理絵本修理

2022年09月19日

9月24日 絵本修理の受付を行います。

9月の絵本修理の受付は
9月24日(土) 13:00~16:00 T-face A館9階の「あいあい」活動室
です。

8月に依頼いただいた絵本を少し紹介します。

【1】はじめてのずかん
 背表紙が外れています。表紙も本紙のページも厚手のボール紙なので、表紙と背表紙のつなぎのところにどうしてもダメージがきます。今回は同じような依頼がもう一冊ありました。




背表紙部分を裏打ちした表紙用布で接続して補強し、その上にもとの背表紙を貼りました。当分大丈夫と思います。


もう一冊の修理後の状態です。


【2】おべんとう
表紙のコーナ部分がはがれて、中のボール紙もつぶれて弱くなっています。


ボール紙を間に差し込んで表紙と接着しました。


【3】しょうぼうじどうしゃ じぷた


中のページが大きく破れてしまっています。


両面から和紙で接続しました。


【4】きのいいふくろう


ページがノド部から外れてしまっています。


先回修理した際にはノドの部分で和紙で接続したのですが、やはり弱かったようです。今回は綴じを外して、破れ部をきっちり和紙で接続し、綴じ直しました。先回よりは強くなっていると思います。


【5】ぱくぱくもぐもぐいただきまーす


ページを開くと口が開く仕掛け絵本です。



口の部分に食べ物を入れるので破れてしまっています。

破れた部分を和紙でつなぎました。




今回は全部で12冊の依頼がありました。
破れたりした場合はセロテープなどで接着する前にお持ちください。


  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 10:35Comments(0)絵本修理