2018年09月30日
10月のおもちゃ病院
9月に引き続き10月も「志賀こどもつどいの広場」での開催になります。
10月6日(土)10:00~14:00です。
よろしくお願いします。
なお、11月は第2土曜日の11月10日になります。
ご注意ください。
10月6日(土)10:00~14:00です。
よろしくお願いします。
なお、11月は第2土曜日の11月10日になります。
ご注意ください。
2018年09月16日
レタープレス樹脂版作成にトライ・・失敗
7月に活版印刷で名刺作成のワークショップに参加しましたが、自宅でも活版印刷ができないかということで、レタプレの樹脂版作成にトライしてみました。太陽光で活版用の樹脂版を作成できるキットです。
先回作成した名刺ベースに作ってみました。今回使用したのは「真っ黒ネガフィルム れたぷれ」です。樹脂の感光は太陽光ではなくレジンアクセサリー用のUVライトを使用しました。
まずはネガフィルムの作成で、インクジェットで印刷したデザインをコピーし、ネガフィルムと重ねてラミネート機に通します。ネガフィルムはトナーと熱で反応し、その部分だけネガフィルムから取り除かれます。以前試したときは、ネガフィルムの固定が少なく、ラミネート機を通したときにしわが寄ってしまい、うまく抜けませんでした。今回は全周マスキングテープで固定しました。
「コピーした用紙を台紙に固定」

「マスキングテープのような熱で溶けないテープで固定」

「台紙が熱で反るので2-3枚重ねたほうがよさそうです」

3枚作ってみましたが、細かい線やQRコードはやはりきれいには抜けていないようです。後の感光でもそうですが、ある程度の太さが必要なようです。次にこれをラミネートします。1枚だけラミネートした後何かに引っかかったようで曲がったまま固まってしまいました。
「ラミ機を通した後冷ましてから外す」

「ラミネートすると熱でネガフィルムのシワも伸びて出来上がる。一番上のラミが反り曲がってしまいました。」

次にこれを使って樹脂版を感光するのですが、長さがよくわかりません。とりあえず2分半ほど感光してみましたが長すぎるようで文字がほとんどつぶれてしまいました。そこで1分半、45秒、25秒とだんだん短くしてみました。25秒だと太目の所はきれいにできるのですが細い線は硬化が不足で感光後の水洗いでなくなってしまいました。45秒だと細いところもきれいに残るのですが、逆に太いところに囲まれた部分も硬化が進んでいます。
「フレーム(写真立て)に挟んで、ネガフィルムと樹脂版を密着させる」

「UVライトで感光させる」

「感光後に未硬化部分を水で洗い落とす。これが結構難しい」

「45秒感光したもの。小さい字はうまくできているが、太文字の間がつぶれている」

「25秒感光したもの。太文字の間がそれなりに残っているが、小さい(細い)文字がなくなっている」

これを避けるには、文字の太さで露光時間を変えるしかないのかと思いましたが、そもそもUVライトで行ったのも間違いかなと思っています。UVライトは早く硬化させるためにライトの周辺に凹面の反射鏡がついているので、いろんな方向からの光が当たります。ということは太いところにはいろいろな角度から光が入るので周辺も硬化がより進むことになります。やはり太陽光のように(ほぼ)平行な光に当てたほうがうまくできるのかと思います。次回は太陽光でトライしてみます。(レタプレのブログにあるように、感光時間を事前に調べる必要がありますが、当然夏と冬で太陽光の量も違うので、その時期ごとに確認する必要があり結構面倒ですね)
※今回の樹脂版露光時に最初の3枚はネガフィルムを反転してセットするのを忘れていました。これではうまくできても使い物にはなりません。しっかり確認が必要ですね。
先回作成した名刺ベースに作ってみました。今回使用したのは「真っ黒ネガフィルム れたぷれ」です。樹脂の感光は太陽光ではなくレジンアクセサリー用のUVライトを使用しました。
まずはネガフィルムの作成で、インクジェットで印刷したデザインをコピーし、ネガフィルムと重ねてラミネート機に通します。ネガフィルムはトナーと熱で反応し、その部分だけネガフィルムから取り除かれます。以前試したときは、ネガフィルムの固定が少なく、ラミネート機を通したときにしわが寄ってしまい、うまく抜けませんでした。今回は全周マスキングテープで固定しました。
「コピーした用紙を台紙に固定」
「マスキングテープのような熱で溶けないテープで固定」
「台紙が熱で反るので2-3枚重ねたほうがよさそうです」
3枚作ってみましたが、細かい線やQRコードはやはりきれいには抜けていないようです。後の感光でもそうですが、ある程度の太さが必要なようです。次にこれをラミネートします。1枚だけラミネートした後何かに引っかかったようで曲がったまま固まってしまいました。
「ラミ機を通した後冷ましてから外す」
「ラミネートすると熱でネガフィルムのシワも伸びて出来上がる。一番上のラミが反り曲がってしまいました。」
次にこれを使って樹脂版を感光するのですが、長さがよくわかりません。とりあえず2分半ほど感光してみましたが長すぎるようで文字がほとんどつぶれてしまいました。そこで1分半、45秒、25秒とだんだん短くしてみました。25秒だと太目の所はきれいにできるのですが細い線は硬化が不足で感光後の水洗いでなくなってしまいました。45秒だと細いところもきれいに残るのですが、逆に太いところに囲まれた部分も硬化が進んでいます。
「フレーム(写真立て)に挟んで、ネガフィルムと樹脂版を密着させる」
「UVライトで感光させる」
「感光後に未硬化部分を水で洗い落とす。これが結構難しい」
「45秒感光したもの。小さい字はうまくできているが、太文字の間がつぶれている」
「25秒感光したもの。太文字の間がそれなりに残っているが、小さい(細い)文字がなくなっている」
これを避けるには、文字の太さで露光時間を変えるしかないのかと思いましたが、そもそもUVライトで行ったのも間違いかなと思っています。UVライトは早く硬化させるためにライトの周辺に凹面の反射鏡がついているので、いろんな方向からの光が当たります。ということは太いところにはいろいろな角度から光が入るので周辺も硬化がより進むことになります。やはり太陽光のように(ほぼ)平行な光に当てたほうがうまくできるのかと思います。次回は太陽光でトライしてみます。(レタプレのブログにあるように、感光時間を事前に調べる必要がありますが、当然夏と冬で太陽光の量も違うので、その時期ごとに確認する必要があり結構面倒ですね)
※今回の樹脂版露光時に最初の3枚はネガフィルムを反転してセットするのを忘れていました。これではうまくできても使い物にはなりません。しっかり確認が必要ですね。
2018年09月09日
Morgan Beatus写本の紹介
Morgan Beatus写本の紹介です。
940~945年にスペインでMaiusという人によって製作(写字・挿絵とも)された写本です。
全300葉(600ページ)と大部で、もとは1巻でしたがいまは2巻に製本されています。
大きさは 縦387 幅285 と大きめの写本で、挿絵はフルページが68点、小型の挿絵が48点描かれています。
フルページの中には2頁にわたって書かれているものもあり、絵画といっていい大きさです。
現在は写本収集で有名なアメリカのニューヨークにあるPierpont Morgan Libraryが所蔵しています。



詳しくはこちらを見てください。
940~945年にスペインでMaiusという人によって製作(写字・挿絵とも)された写本です。
全300葉(600ページ)と大部で、もとは1巻でしたがいまは2巻に製本されています。
大きさは 縦387 幅285 と大きめの写本で、挿絵はフルページが68点、小型の挿絵が48点描かれています。
フルページの中には2頁にわたって書かれているものもあり、絵画といっていい大きさです。
現在は写本収集で有名なアメリカのニューヨークにあるPierpont Morgan Libraryが所蔵しています。
詳しくはこちらを見てください。
2018年09月02日
9月のおもちゃ修理
9月1日はおもちゃ修理の日でした。
いつもの活動場所の松坂屋の子育て支援センターが改装のため、今月から11月までは志賀町の「志賀こどもつどいの広場」で行います。
場所が変わったので患者さんは少ないかと思っていましたが、予想外に多くいつもと同じくらい見えて、結局19点のおもちゃが持ち込まれました。いくつかのおもちゃは持ち帰りとなりましたが、ほぼ当日にお渡しすることができました。

場所が2階だったので、入口の所に看板を作ってもらっていました、いつも親切にしていただいています。

活動部屋です。以前はこども園(幼稚園)に使用されていた教室なので、その雰囲気が残っています。

修理中の様子です。この日は12人が参加しました。赤い人形ですが、一部がへこんでしまったそうで、いろいろ試してみたのですが結局この日に直すことができず持ち帰りをお願いしました。

よくわからないところは相談しながら修理を行います。

修理したおもちゃの一部です。断線やモーターの錆びつきなど原因はいろいろです。

踊る猫ですが、音に反応して踊りだすはずが動かないとのことでした。さっそく中の構造を確認したのですが、マイクなど音に反応する部品はなく、手の所にあるスィッチを押すと動く機構になっています。持ってきていただいた方に確認すると、どうも思い違いだったようです。こういうこともたまにあります。
いつもの活動場所の松坂屋の子育て支援センターが改装のため、今月から11月までは志賀町の「志賀こどもつどいの広場」で行います。
場所が変わったので患者さんは少ないかと思っていましたが、予想外に多くいつもと同じくらい見えて、結局19点のおもちゃが持ち込まれました。いくつかのおもちゃは持ち帰りとなりましたが、ほぼ当日にお渡しすることができました。
場所が2階だったので、入口の所に看板を作ってもらっていました、いつも親切にしていただいています。
活動部屋です。以前はこども園(幼稚園)に使用されていた教室なので、その雰囲気が残っています。
修理中の様子です。この日は12人が参加しました。赤い人形ですが、一部がへこんでしまったそうで、いろいろ試してみたのですが結局この日に直すことができず持ち帰りをお願いしました。
よくわからないところは相談しながら修理を行います。
修理したおもちゃの一部です。断線やモーターの錆びつきなど原因はいろいろです。
踊る猫ですが、音に反応して踊りだすはずが動かないとのことでした。さっそく中の構造を確認したのですが、マイクなど音に反応する部品はなく、手の所にあるスィッチを押すと動く機構になっています。持ってきていただいた方に確認すると、どうも思い違いだったようです。こういうこともたまにあります。
2018年09月02日
書籍修理夏期講習参加
この前の土日(25、26日)ですが、書籍修理・修復講座の夏期講習に参加しました。(NPO法人「書物の歴史と保存修復に関する研究会」が主催している講座に通っています) 毎年8月に奈良図書情報館で開かれ、私は4回目になります。
1年ぶりにお会いする方々とお話することができて楽しい時間を過ごすことができました。
1日目は午後から講演会で、今年は修理・修復にも非常によく使用する和紙について、特に雁皮紙を主として近江のなるこ和紙を製造される成子紙工房の方が話をされました。雁皮紙は非常に薄い紙でかつ水にぬれても強い和紙で、筆で書いてもにじまないそうです。和紙の世界も原料を作る方や紙を漉く道具を作る方など全体的に高齢化が進んでいるので大変なようです。
またお昼前から講座生の作品展の展示会も行われました。いくつか紹介したいと思います。

(資料保存入門)修理・修復の基礎ということで、本の構造/歴史を中心に学びます。角背・丸背の製本を学び、終了製作として3点の本を製作するのですが、みなさん毎回個性的で凝った作品を作成しています。

(修理基礎1)一般図書修理に役立つ様々な知識、技法、資料製本と保存箱作りなどを学びます。

(修理基礎2)一般図書修理のための知識、技術を系統立てて学びます。修理実技の実習、様々な部分修理の例を取り上げながら技術を積み上げます。

(実践修理本科) 公共図書館、学校図書館の一般書の実用修理技術を学びます。実際の書物を担当して修理します

(修復基礎1) 年代別(古典的)製本技法、綴じ方、花布の編み方などを学びます。13世紀、15世紀と18世紀の製本様式を実際に製作します。13世紀と15世紀の本には表紙に木を使うので木工のような作業もあります。また、18世紀の本は工程が多く革も使います。

(修復基礎2) 修復理論・カルテ・見積り・小規模修復の知識を学ぶとともに、革を使った修復の基礎として革刀を使った革漉き作業を始めます。丸刃を使うのですが、刃のメンテナンスが非常に大事になります

(修復本科基礎) 修復に必要な基礎知識として、様々な保存製本と修復小規模技法、及び革の扱いを徹底的に学びます。

(実践修復)本科生の方々の行なっている修復の事例紹介です。革装本の修復が主で、オリジナルを生かしながらどのように修復するかが課題になります。このクラスの技術を身につけるにはかなりの経験と勉強が必要です。
2日目はイスラム綴じ製本のワークショップです。綴じ方は支持帯を使用せず2本の糸を使って2か所でケトルステッチで編み上げるように折り丁を綴じていきます。

使用する材料はすべてセットにしていただいているので、あとは手順に従って穴をあけたり綴じたりしていく作業になります。

綴じた状態の写真です。この中身を今度は表紙と上下で結合します。

綴じつけようの糸で背の上下を表紙布と本体の折り丁を巻きつけながら結合していきます。

次に飾り糸で綴じつけ糸を編みこんでいきます。これは綴じつけ糸の補強とともに装飾を兼ねているそうです。

飾り糸の綴じ方は特に決まっていなくて、いろいろな装飾の仕方があります。
今年も大変おもしろく勉強になる時間を過ごすことができました。
1年ぶりにお会いする方々とお話することができて楽しい時間を過ごすことができました。
1日目は午後から講演会で、今年は修理・修復にも非常によく使用する和紙について、特に雁皮紙を主として近江のなるこ和紙を製造される成子紙工房の方が話をされました。雁皮紙は非常に薄い紙でかつ水にぬれても強い和紙で、筆で書いてもにじまないそうです。和紙の世界も原料を作る方や紙を漉く道具を作る方など全体的に高齢化が進んでいるので大変なようです。
またお昼前から講座生の作品展の展示会も行われました。いくつか紹介したいと思います。
(資料保存入門)修理・修復の基礎ということで、本の構造/歴史を中心に学びます。角背・丸背の製本を学び、終了製作として3点の本を製作するのですが、みなさん毎回個性的で凝った作品を作成しています。
(修理基礎1)一般図書修理に役立つ様々な知識、技法、資料製本と保存箱作りなどを学びます。
(修理基礎2)一般図書修理のための知識、技術を系統立てて学びます。修理実技の実習、様々な部分修理の例を取り上げながら技術を積み上げます。
(実践修理本科) 公共図書館、学校図書館の一般書の実用修理技術を学びます。実際の書物を担当して修理します
(修復基礎1) 年代別(古典的)製本技法、綴じ方、花布の編み方などを学びます。13世紀、15世紀と18世紀の製本様式を実際に製作します。13世紀と15世紀の本には表紙に木を使うので木工のような作業もあります。また、18世紀の本は工程が多く革も使います。
(修復基礎2) 修復理論・カルテ・見積り・小規模修復の知識を学ぶとともに、革を使った修復の基礎として革刀を使った革漉き作業を始めます。丸刃を使うのですが、刃のメンテナンスが非常に大事になります
(修復本科基礎) 修復に必要な基礎知識として、様々な保存製本と修復小規模技法、及び革の扱いを徹底的に学びます。
(実践修復)本科生の方々の行なっている修復の事例紹介です。革装本の修復が主で、オリジナルを生かしながらどのように修復するかが課題になります。このクラスの技術を身につけるにはかなりの経験と勉強が必要です。
2日目はイスラム綴じ製本のワークショップです。綴じ方は支持帯を使用せず2本の糸を使って2か所でケトルステッチで編み上げるように折り丁を綴じていきます。
使用する材料はすべてセットにしていただいているので、あとは手順に従って穴をあけたり綴じたりしていく作業になります。
綴じた状態の写真です。この中身を今度は表紙と上下で結合します。
綴じつけようの糸で背の上下を表紙布と本体の折り丁を巻きつけながら結合していきます。
次に飾り糸で綴じつけ糸を編みこんでいきます。これは綴じつけ糸の補強とともに装飾を兼ねているそうです。
飾り糸の綴じ方は特に決まっていなくて、いろいろな装飾の仕方があります。
今年も大変おもしろく勉強になる時間を過ごすことができました。