2022年07月27日

ライブラリー リエバナ8月の展示お知らせ

中世スペインの彩色写本などをファクシミリ本(精巧な複製本)を中心に紹介しているライブラリー リエバナです。
8月の展示内容と開館日のご案内です。


8月も引き続き7月とは別の写本で黙示録の四騎士の描かれ方を見てみたいと思います。いずれも12世紀から13世紀に制作された写本で、ベアトゥスの写本群の中では遅い時期に当たります。

1)ベルリン写本

12世紀にイタリア中部で制作されたと思われる写本で、イベリア半島以外で制作された数少ない写本です。 縦302×横190と比較的小型の写本に55点の挿絵が描かれています。他のベアトゥス写本と違い、細いペン画が主体でところどころ薄い黄色や茶色・赤色で彩色されています。

(2)リスボン写本


1189年にポルトガルで制作された縦345×横245の中型サイズの写本で、88点の挿絵が描かれています。なんと言ってもその特徴は挿絵の地に使われた蛍光色の黄色とオレンジ色です。その古式な描き方から、ベアトゥスの元の原稿に近い古い写本から移されたのかもしれません。

(3)ウェルガス写本
ベアトゥス写本の中でも1220年というアローヨ写本に次ぐ遅い時期に製作された縦520×横364と最も大型の写本。


ヨハネの黙示録に関する約70点の挿絵とダニエル書の聖ヒエロニムスによる解説に伴う10点の挿絵を含む 全112点の挿絵が描かれています。ベアトゥス写本では珍しく、系図の中に創世記やマギの崇拝が描かれ、また東方三賢王の礼拝や荘厳のキリスト(マイエスタス・ドミニ)、エルサレム破壊における攻防などの場面、伝道者たちの肖像などが描かれています。

(4)アローヨ写本

アローヨ写本は現存する挿絵入りのベアトゥス写本群の中では最も新しい作(13世紀前半と考えられる)で、10世紀から続く伝統を保持しながらも、随所に新構想や新図像が認められる。12世紀後半以降の後期ベアトゥス写本グループの中で、ライランズ写本、カルディーニャ写本、ウェルガス写本の3冊と特に関連が深い。
大きさも縦440×横305と大型で、大桶の注文ということもあり金箔・銀箔が多数使用された豪華な写本です。

その他に、最初期の挿絵入り黙示録写本のトリーア黙示録写本(Trierer Apokalypse) や 、ベリー候の所有していた時祷書で有名な「大時祷書」と「美しき時祷書」を展示します。








ヨーロッパ中世の写本の世界が味わえます。
場所は、豊田市駅からすぐ近くのVITS豊田タウンの地下1階(市民ギャラリー前)です。 外階段から降りて頂くと便利です。
開館日はこちらで確認してください。 尚、8月は19時まで開店します。  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 15:03Comments(0)写本

2022年07月22日

次回絵本修理は7月23日です

次回の絵本修理の受付は
6月25日(土) 13:00~16:00 T-face A館9階の「あいあい」活動室
です。

修理した絵本を少し紹介します。
【だいすきぎゅっぎゅっ】


表紙裏ののどの部分で本体が外れていて綴じもゆるくなっていました。

もともと背のところに寒冷紗が入れてあったので、それを取り外し新たに寒冷紗と本体を綴じ直すことにしました。

本体を外した状態です。


寒冷紗を外して、本体を綴じ直したところです。


見返しののどの部分を少しまくり上げて、表紙ボードと見返しの間に本体と綴じた寒冷紗を挟み込みます。
さらにのどの部分を和紙で補強しました。

表側の見返し部です


こちらは裏側の見返し部です。



お子さんのお気に入りの絵本だそうで、何回も開け閉めしているとのどの部分がいちばんダメージを受けるようで、ほかにも同様な壊れ方をした絵本がありました。

また、次回おもちゃ病院は
8月6日(土)です。 場所はいつものも見晴広場です。
10:30~14:00 T-face A館9階 
10:30~12:30 修理受付
10:30~14:00 先月までに修理品の返却
電池で動くおもちゃには新らしい電池を入れていただきますようお願いします。
修理が終わった際の確認がスムーズにできます。
よろしくお願いします。
  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 10:08Comments(0)絵本修理

2022年07月04日

絵本修理と次回おもちゃ修理

6月に預かった絵本の修理をご紹介します。
先回は8冊の修理の依頼がありました。まだ全部できていませんが、一部終わったものを紹介します。

(1)「いないいないばあ」 よく依頼される絵本のひとつです。


1ページ目の角部が破れているのと2か所ちぎれています。 ちぎれた部分を持ってきていただいたので助かります。


破れたところにノリを塗って接着し、さらに補強として薄手の和紙を貼りました。

あまり目立たなく修理できました。

こちらは裏側のページですが、破れていたところに反対側の色(白色)がすこし残ってしまいました。


(2)「あそぶのだあれ」

本分を綴じている糸が緩んでいて、表紙から外れかかっています。




ただ、各ページ本体は破れ等はなく見返しも破れがないので、裏表紙の見返し部分をノド近くで切り離して、本体を綴じ付け直すことにしました。


剥がしてみると寒冷紗もしっかりついているので、このまま綴じることにしました。

綴じているところです。一つ折りなので綴じ自体は難しくありません。


剥がした部分を接着して元に戻した状態です。切り離した後もそれほど目立ちません。

(3)「あけてあけて」

「あそぶのだあれ」と同じ壊れ方ですが、こちらは本文が完全に外れてしまい、見返しも綴じつけ部分で完全に破れてしまっていました。

こちらは本文を寒冷紗と一緒に綴じ直して、寒冷紗を見返しと表紙ボードの間に挟み込ませて接着することにしました。

接着した後です。

お子さんの絵本がこわれたら、セロテープなどで接着する前に一度お持ちください。
次回絵本修理は 7月23日(土) 13:00~16:00 T-face A館9階 子育て支援センター「あいあい」 です。

また、次回おもちゃ病院は
7月9日(土)です。 
場所は 「あいあい」活動室になります。
よろしくお願いします。
  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 19:29Comments(0)絵本修理