2020年02月25日

西洋中世の彩色写本展【第2回】が終了しました

彩色写本展2回目の2日間が終了しました。
今回は2日間で6名の方に見てもらいました。県外からの方が多く、わざわざ足を運んでいただいたことに感謝します。
反省・・やはり写本に興味を持っておられる方のところに案内が行かないと、なかなか来てもらえないのかなと思いました。結構特殊な分野になるのと、公共交通の便があまりよくないところというのもあるかなと思いました。次回また行うにしても、もう少し考える必要があると思いました。
ベアトゥス写本を中心に紹介してきましたが、せっかくなのでラットレル詩編(Luttrel Psalter)に描かれている冬至の生活の様子や面白い空想上の生き物を紹介します。
「Luttrel Psalter」は1325-1340頃にイギリス北部のジェフリー・ラットレル卿により作成された写本で、35.0 × 24.5 cmの大きさで309葉(618頁)の大部の写本です。
特徴として14世紀前半のイギリスの農村部の日常生活の描写が豊かに描かされていることと、空想上のいろいろなハイブリット生物が面白く描かれていることです。
ジェフリー卿の1年間の仕事と遊びの内容や、食事の準備する召使いの様子や農事の様子だけでなく、アーチェリー、ダンス、ゲームプレイなどいろいろな場面が、本文中の余白や周辺の余白に描かれています。少し紹介します。
まず食事の準備・・調理から配膳までが書かれています。
Luttrel 食事1
Luttrel 食事2
Luttrel 食事3
Luttrel 食事4
農耕の様子です。
Luttrel 農耕1
Luttrel 農耕2
Luttrel 農耕3
糸を紡いでいる?
Luttrel家事1
遊びの様子。楽器やダンス、ボードゲームの様です。
Luttrel遊び1
Luttrel遊び2
Luttrel 遊び3
多分医療関係の絵です。
Luttrel 医療1
Luttrel 医療2

ここからは空想上の生き物です。
Luttrel 全ページ
Luttrel hybrid08
Luttrel hybrid09
Luttrel hybrid06
Luttrel hybrid03
Luttrel hybrid02

写本の余白にはいろいろな絵が描かれているのですが、これだけ空想上の生き物が書かれているのは珍しいと思います。  


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2020年02月22日

西洋彩色写本展【第2回】1日目

先月に引き続きベアトゥスの黙示録註解書写本の複製本(ファクシミリ本)を中心に、彩色写本の展示会をMAMATOCOレンタルルームで行いました。
前回に展示できなかったベアトゥスのファクシミリ本9冊と先回の展示から3冊を合わせて見てもらいました。
今日(2月22日)は天気があまり良くなかったですが、先月に引き続き東京から見に来てくれた方と、旧知の先輩の方が来てくれました。
展示の様子を紹介します。
展示の様子1
コルシーニ写本からマンチェスター写本の7冊です。
コルシーニ写本
コルシーニ写本。一番小さい写本で、字も小さくびっしり書かれています。
ベルリン写本
ベルリン写本 これも小型の写本です。挿絵は線描画が主体で、彩色もあまりされていません。
リスボン写本
リスボン写本(ロルバオ写本) 挿絵の縁取りや字の部分が、赤やオレンジ・黄色の蛍光色のような感じで塗られていて、絵の部分は線画がほとんどです。彩色が途中でやめられてしまったのかもとも感じます。
ナバーラ写本
ナバーラ写本 挿絵が漫画チックな趣の写本です。
ファクンドス写本
ファクンドス写本(実物よりすこし縮小されているファクシミリ本です。挿絵は原色で描かれ、特に黒の使い方に特徴があると思います。「薔薇の名前」の表紙に挿絵が使われているので、目にした方が多い写本です。
シロス写本
シロス写本 本文の挿絵以外にいろいろな細かい挿絵が面白い写本です。
マンチェスタ写本
マンチェスター写本(ライランズ写本) 欠けのない完本で伝えられている大型の写本です。
展示の様子2
左が一番大きなラス・ウェルガス写本で、右がこれも大型のアローヨ写本です。どちらも彩色に金や銀がたくさん使用された豪華な写本ですが、その描き方には違いがあります。
前回の3冊
先月展示した中から3冊を再展示しました。右からモーガン写本・エスコリアル写本・ジローナ写本です。
展示の様子3
こちらはベアトゥス写本に関係する本です。
明日(2月23日)も行っていますので、興味のある方はぜひお越しください。無料です。
【時間】11:00~16:00
【場所】豊田市 MAMATOCO
  


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2020年02月17日

西洋中世の彩色写本展【第2回】のご案内

先月に引き続き写本展を行います。
【日時】 
2月22日(土)11:00~17:00
2月23日(日)11:00~16:00
【場所】MAMATOCO(ママトコ)レンタルルーム  
  (無料です)
先回は10~11世紀のBeatus黙示録註解書写本を中心に展示しましたが、今回はそれ以降の写本を中心に展示します。
少し紹介します。
⑩コルシーニ写本  Beatus写本の中で一番小さい写本です。
corsini
Corsini2
⑪ベルリン写本  挿絵は線描画に淡彩の彩色です。
Berlin
Berlin2
⑫リスボン写本  挿絵が蛍光色風の着色です。
Lisvon
Lorvao
⑬ナバーラ写本  人物の描き方が漫画チックです
Navarre1
navarre 2
⑭ファクンドス写本  今回の展示はは縮小版のファクシミリです。挿絵が「薔薇の名前」の小説本の表紙に使用されています
Facundus
⑮シロス写本  いろいろなところに書かれている本文とあまり関係のなさそうな挿絵が面白いです
Silos1
silos2


⑯ライランズ(マンチェスタ)写本  1葉の欠けもなく完全な形で残っている希少な写本
Manchester1
Manchester2
⑰ラス・ウェルガス写本  Beatus写本の中で一番大きな写本です
Huelgas1
Huelgas2
⑱アローヨ写本  金銀をふんだんに使用した豪華な写本です
Arroyo2
Arroyo3
Arroyo1
先回の写本もいくつか展示したいと考えています。
ご興味がありましたら是非お越しください。

     


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2020年02月16日

おもちゃの修理(キティのニャンニャンみしん他)

2月のおもちゃ病院で持ち帰ったおもちゃを何点か修理しました。
1点目は、「ハローキティのニャンニャンみしん」です。
ニャンニャンみしん
30年ほど前のおもちゃですが、動かないとのことで持ち込まれました。
みしん1
おもちゃ病院の当日はスイッチが錆びているところまではわかりましたが、錆びをとっても動きません。
周りを見ていくとリード線が外れているところがありました。
みしん2
ただここを接続してもうまく動きません。もう一度モーターをよく見るとモーターについているピニオンギアが空回りしていました。モーターを外してギアを交換することにしました。
みしん3
みしん4
もう一度組み直してスイッチを入れると、針が上下して問題なく動作することを確認しました。
ただ、このミシンは上糸だけで下糸が見当たりません。どういう風に縫うのかいまいちよくわかりませんでした。

もう一つはよくある犬のおもちゃです。足が折れたとのことですが、モーターがうまく回らず、他にも壊れている部分がありそうです。
犬1
早速着ぐるみを脱がせました。
犬2
折れているのは左の後ろ足です。
よく見ると反対側の右の前足につながっているリンクの部分も折れていました。
犬4
こういう折れた部分は接着剤だけではすぐにまた折れてしまいます。とりあえず瞬間接着剤で固定し、エポキシ接着剤で補強しさらに上から糸で巻いてその糸の上からまた瞬間接着剤で固定してギブスの様に固定することにしました。本当は金属で芯を作ってその上から接着剤で固定するのがいいのですが、形状的に難しそうだったのでやめました。
犬3

犬5
このあとエポキシ接着剤の上から糸を巻きましたが、写真を撮るのを忘れました。
犬6
着ぐるみをかぶせて、動くことを確認しました。

最後は、電車のおもちゃです。
電車1
動かないと言うことで電池Boxを見ると端子が錆びています。これが原因かと思いさびを落としたのですが動きません。やはり中を見ないとわからないということで分解しました。
電車3
モーターを直結すると動きます。他に断線箇所はないのですが、スイッチを入れても通電しません。ここが問題と言うことでスイッチを分解しました。

中の端子がやはり錆ていました。この部分の錆を落として組み直して何回か調整の後、ようやくスムーズにスイッチが入るようになりました。
電車2
あと2点ほど持ち帰りがあるのですが、今日はこのくらいにしておきます。
3月のおもちゃ病院は3月7日の土曜日です。 私は所用で欠席しますが、お待ちしています。




  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 21:31Comments(0)おもちゃ修理

2020年02月02日

絵本の修理

おもちゃの修理を毎月行っている子育て支援センターには、子供がたくさん来るので絵本も置いてあります。先月のおもちゃ修理で、壊れた絵本があったので、預かって直してみることにしました。
どうぶつ絵本1
一冊目は「どうぶつ くらしとかいかた」という本で、いろいろな野生動物の暮らしと飼い方を紹介しています。暮らしはともかく、飼い方を教わってもという気がしたのですが、動物園での飼い方でした。
どうぶつ絵本6
この本は1折りめと10折り目が見返しに貼りこんであり、2折り目から9丁目までが外れてしまっています。針穴部分はそれほど傷んでいないので、綴葉装(てっちょうそう)という縫い方で、外れた折り丁を表紙と裏表紙に固定することにしました。
どうぶつ絵本2
綴じ穴が8か所あるので、4本の糸の両側に針を通してそれぞれの穴から通します。針を8本使うので針が足らず2本は曲げ針を使っています。
どうぶつ絵本3
折り丁を順番に重ねていって、針を上の折り丁の穴に通し、裏側で交差させてまた外に出すを繰り返します。
どうぶつ絵本4
9折りまで進んだところです。このあとどうするか悩んだのですが、折り丁の背に糊を塗って10折り目(裏表紙に貼り込んである折り丁)に綴じることにしました。
どうぶつ絵本5
一晩おいた状態です。綴じ糸が少し太かったので背が厚くなってしまいました。丈夫にと思ったのですがやはりバランスが大事です。
のんたん1
もう一冊はのんたんのシリーズです。
のんたん2
こちらは見返しののどの部分から破れていて、ページもバラバラになっています。こちらも先と同じように綴葉装で綴じるのですが、折り丁の折りの部分が傷んでいるのと補修テープで手直ししてあるのでどうやって補強するかを考える必要があります。また、見返しが外れているので寒冷紗を背に貼り、表紙の見返しと表紙紙の間に貼りこむことになります。
少し時間がかかるので次回にしたいと思います。



  
タグ :絵本の修理


Posted by おもちゃシューリーズ  at 16:57Comments(0)製本

2020年02月01日

2月度のおもちゃ修理を行いました

本日(2月1日) おもちゃ病院を松坂屋(T-Face)の子育て支援センタ(アイアイ)で開催しました。
ボランティア10名が参加しました。
出だしはお客さんが少なく、今日はゆっくりできるかと思ったのですが、その後はあまりとだえることなく見え、結局34件の修理の依頼がありました。時間内には終わらず、10点を皆で持ち帰ることになりました。忙しかったので、写真をあまりとることができませんでした。
修理様子1
修理様子2
修理様子3
修理の様子です。
タンバリン 1
壊れたおもちゃ。音が小さいということでしたが、中を見るとスピーカーのマグネットが外れていました。
タンバリン 2
マグネットを元に戻し接着して治るかと思ったのですが、一時的には治りましたが結局スピーカを交換しました。
キティ ミシン1
キティちゃんのミシンで大分古そうなおもちゃです。動かないということで、順番に回路を見ていくとスイッチの部分の接触が悪く「入り」にしても通電していませんでした。
キティ ミシン2
スイッチを分解してみると接点が汚れていたので、サンドペーパで汚れを落としてやることにしました。
キティ ミシン3
汚れを落として組み直して通電することを確認しました。ただこれだけでは動かず、まだほかに悪いところがありそうです。
これ以降は持ち帰ってみてみることにしました。

他にもいくつか持ち帰りのおもちゃがありますが、また紹介したいと思います。

次回は3月7日ですが、2月15日(土)に、猿投おもちゃ図書館(井郷交流館)でも9:00~12:00におもちゃ病院を行います。
また、20年度の子育て支援センターでの開院日を連絡します。(変更がある場合は都度ご連絡します)
4月4日(土)
5月9日(土) 第2土曜日
6月6日(土)
7月4日(土)
8月1日(土)
9月5日(土)
10月3日(土)
11月7日(土)
12月5日(土)
1月9日(土) 第2土曜日
2月5日(土)
3月5日(土)

以上 よろしくお願いします。



  


Posted by おもちゃシューリーズ  at 17:52Comments(0)おもちゃ修理