『中世ヨーロッパ彩色写本展』展示写本の紹介
市民ギャラリーにて、4月28日~5月2日にかけて、
彩色写本展を行います。
中世のヨーロッパで作られていた手書きの写本の美しさをぜひご覧いただきたく。 (無料です)
今回は動物の写本や医学写本などを紹介します。
①動物寓意書
12世紀中頃から13世紀中頃にかけてイギリスで流行した挿絵付きのけもの図鑑の代表写本。陸上の獣・空を飛ぶ獣・海の獣に分けられて、それぞれ野生動物から空想上の幻想的な獣までその習性と特徴とをキリスト教的教訓とを結びつけて、そこに寓意や諷刺を込めた内容となっています。
140匹以上の説明が135点の挿絵とともに描かれていて、キリスト教徒の道徳的教化、布教に大きな役割を果たしました。
最初に出て来る動物はライオンです。
(上段)猿を食べて自分の病気をなおすライオン
(中段)3人の旅行者の命を救う慈悲深いライオン
(下段)白い雄鶏を恐れるライオン
(上段)山の頂上を歩き回るライオン
(中段)ライオンと3匹の幼い子供ライオン
(下段)2匹のライオンが、生後3日の赤ちゃんライオンを生き返らせる
次は象に乗った兵士です。
城のような砦を背に乗せた象。砦の兵士が象を取り巻く敵の軍隊を攻撃している場面。
想像上の生物として、まずはフェニックスです。
木の枝に作られた燃える薪のなかで羽を広げて甦るフェニックス。
次にセーレンです。
セイレーンは、もともとは半人半鳥で下半身は鳥のギリシャ神話の怪物でしたが、中世では下半身が魚で描かれることが多くなりました。姉妹で描かれ、この絵では3姉妹になっています。 美しい歌声で人を惑わし、海に引きずりこんだり、食べたりすると恐れられていました。 同様な精霊で川に住む魔物にローレライがいます。
②カノッサのマチティルダ伝
有名な「カノッサの屈辱」の舞台となったカノッサ城砦の主マティルダの伝記です。 カノッサ家の歴史やマティルダの生涯が記されています。
マティルダの肖像です。
「カノッサの屈辱」の場面で、玉座のマティルダに跪いて教皇への取次ぎを嘆願するハインリヒ4世を描いています。
右側の座っている女性がマティルダ伯です。中央で跪いているのがハインリヒ4世で、左の人物はクリュニー修道院長ユーグで、当時の修道会では非常に権威を持っていて、この時はハインリヒ4世の代父として「叙任権闘争」での調停役を務めたが、成功には至らなかった。
今回は以上です。 また紹介したいと思います。
展示会にぜひお越しください。
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